3つのレバー
- Patrick Rial
- 10月20日
- 読了時間: 2分

「私に立つ場所を与えよ、そうすれば地球を動かしてみせよう」
―― アルキメデス(アレクサンドリアのパップスによる引用)
私が好む投資には、2つのタイプがあります。
1つ目は「過小評価された、あるいは認識されていないオプショナリティ(潜在的な可能性)」を持つ企業です。例えば2015年当時の任天堂は、いくつかのゲーム機の販売が振るわなかった後で、利益のボトム水準に基づくEV/EBITがわずか5〜6倍という低評価でした。しかし同社には、1)WiiやDSのような大ヒット機種を再び生み出す可能性、2)豊富な知的財産(IP)群の収益化、という2つの大きなポジティブ・オプションが存在していました。
その後数年間で、Switchの発売と『スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のヒットによって、その両方のオプションが「行使」され、株価は過去10年間で約10倍に上昇しました。
もう1つの投資タイプは、「価値創造の3つのレバー」を引くことができる可能性を持つ企業です。その3つとは、①利益の増加、②マルチプル(評価倍率)の上昇、③発行株式数の減少、です。(もし他にもあると思われたら、ぜひ教えてください!)
この3つのレバーの素晴らしい点は、加算的ではなく「乗算的(multiplicative)」に作用することです。たとえば利益が2倍になり、マルチプルも2倍に上昇し、発行株数が半分になれば、株価は8倍(2 × 2 ÷ 0.5 = 8)になります。
そして最初の2つのレバー(利益とマルチプル)はしばしば同時に動きます。利益が増えれば、評価も上がるからです。
ほそみちキャピタルのポートフォリオに含まれる企業のほとんどは、この最初の2つのレバーによる恩恵を受ける可能性を秘めています。現在の利益水準に対して低い倍率で取引されており、今後の利益拡大が期待されています。
残念ながら、日本の経営陣でこの「第3のレバー」――発行株式数の削減――の概念を本質的に理解し、積極的に実践している企業にはまだ出会っていません。多くの経営者にとって、キャッシュフローを事業拡大に再投資するのは自然なことです。そして株式数を減らすことは株主に利益をもたらしますが、従業員・顧客・取引先・経営者(自社株保有が少ない場合)にとっては直接的なメリットがありません。
もし、株価が大きく割安な局面であえて借入をしてまで自社株を買い戻すような経営陣に出会えたなら、私は迷わず投資するでしょう。
この3つのレバーに注目するというのは、すなわち「自分はバリュー投資家である」という別の言い方でもあります。3つすべてがうまく働けば結果は素晴らしいものになりますし、仮に1つしか機能しなくても、十分に満足できるリターンを得られるものです。
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